2026年6月29日
『FDI INTELLIGENCE』掲載 | 執筆:ジョン・エヴァンス(Tractus)
アジアへの投資は周期的に推移しており、そのバランスは「建設」から「買収」へと移行している。アジア太平洋地域のプライベート・エクイティは、約2,400億ドルの「ドライパウダー(未投資資金)」を保有している。日本は昨年、過去最高の3,860億ドル相当の約5,000件の取引を記録し、インドは963件・602億ドルで過去最高を更新した。また、タイ、インドネシア、マレーシアもそれぞれ100件以上の取引を成立させた。資本と確信を持つ投資家にとって、グリーンフィールド投資への意欲を抑制しているのと同じ不確実性こそが、この地域への参入手段としてM&Aをより魅力的なものにしている。
fDi Intelligenceへの最新コラムで、Tractusのマネージング・ディレクター、ジョン・エヴァンス氏はその理由を解説している。リスクが高まり、キャッシュフローの予測が難しくなると、企業価値は下落し、かつては妥当な価格では売却されることなどなかった企業も、突然売却対象となる。これを後押ししているのは、ファンドの運用期間満了前に資金を投入したいと焦る資本と、事業を次世代に引き継ぐよりもエグジットを選ぶアジアの創業者世代という、2つの要因だ。
また、この記事では、アジアを他と一線を画す特徴についても指摘している。2025年の世界のM&A取引額は、米国におけるごく少数のメガディールに集中していたのに対し、アジアのM&Aは市場全体に広がった。一方、グリーンフィールド投資は、資本集約的な案件に限定されるようになった。ジョン氏の結論は「タイミング」に関するものだ。不確実性が解消されれば、評価額の割安感も消え去る。このサイクルを左右するのは、まだ不安が残る状況であっても、果敢に行動を起こす買い手たちである。